今年の3月に、ちゃぶ台返し女子アクションが一年を通して実施してきた「チェンジ・リーダー・プログラム」(以下「CLP」)1.0が無事幕を閉じました。今回は、プログラムの終了、そしてさらにバージョンアップしたCLP2.0のスタートを期に、CLP参加者と伴走する運営陣の努力を見てきた我々デジタルチーム(ブログ・SNS運用チーム)がこの一年を振り返ってみました!
チェンジ・リーダー・プログラムとは?
「自分の通うキャンパス内から、性差別や性暴力を無くしたいけど、何から始めたらいいのか分からない」、「今は一人で活動しているけど、性やフェミニズムについて語り合える仲間が欲しい」。このような想いを持った学生を対象に、ちゃぶじょは2020年4月、CLPを始動しました。
プログラムの内容は、一年を通し、参加者にコミュニティ・オーガナイジングの手法を学んでもらい、参加者各々が自らのコミュニティで「チェンジ・リーダー(以下「CL」)」として同志を集め、自分たちの手で構造的変化を起こしていくための力をつけてもらうというものです。
このようなプログラムを立ち上げるのはちゃぶじょにとっても初の試みではありましたが、国内各地の大学から様々な想いを抱えた学生に集まっていただき、今年2021年3月、7大学の7名と共にプログラムを完走することができました。
CLPでは、4月にオリエンテーションを行ったあとには、隔週のコーチングを受けてもらい、また、月一開催の勉強会に参加してもらいながら、CL各々に自らのコミュニティで活動を展開してもらいました。また、そのほか、CLやCLと共に立ち上がった同志全員を参加対象とした集中トレーニングやイベントなどを通して、力を伸ばすためのスキルを切磋琢磨しながら学んでもらいました。
細かいタイムラインは、こちらから確認いただけます。
CLP参加者・運営の声
これまで活動に取り組んだCLたちは、最終報告会で一年間を通しての成長や成果を振り返りました。一部声を紹介すると、「チームを持続するためには、細かな作業など、ミクロな視点を持つことが大事だと気づいた」「役割を人に与えると活動がスムーズに進み、自分ができることと、他人に任せたほうがいいことが分かった」「手探りどころか何を探ればいいかも分からない状態から、どうやってチームをつくるのかを体系立てて知ることができた」などの学び、そして、「人は思っているよりも何もできないと気づいた」「マイポリシーだったり、目先の課題に囚われてしまうことがあった」などの困難がありました。プログラムを通し、各大学内で成果が生まれただけではなく、参加者一人一人が、チームビルディングやリーダーシップ、社会を変えるということに対して真剣に向き合い、悩み、力をつけることができた様子が見て取れました。
今回デジタルチームでは、CLPに参加したCL3名に追加でインタビューを実施し、CLPでの学びや、それを学内での活動でどのように活かすことができたかについて、詳しくお話を伺いました。
インタビュー記事は、以下のリンクからご確認いただけます(7月19日現在、準備中!です)。
- 慶應義塾大学 ひなさん インタビュー記事(Coming soon!)
- 一橋大学 ともやさん インタビュー記事(Coming soon!)
- 共立女子大学 めいめいさん インタビュー記事(Coming soon!)
また、プログラムの運営に関わった4名のスタッフから、CLPに関わる中で感じた思いをコメントいただきました。
【ちゃぶ台返し女子アクション 共同発起人:さちこ】
CLPを始めたのは、ジェンダー問題に対してアクションを起こす人を増やしてムーブメントを大きくしたいという思いがあったのと、自分が大学生の時に欲しかった場を作りたかったからです。当時は社会のあり方におかしいという違和感を持っていたけど、自分に何ができるかわからなくてすごくもどかしかったのを覚えています。社会人になってから、同じ思いを持つ仲間に出会い、ちゃぶじょの活動を通して「こうやって社会は変えられるんだ」と希望と実感を持つようになりました。だからこそ、今の大学生たちが、変えられると希望を持って、実際変化を起こすためのスキルを身につけられる場を作るんだ!という思いで始めました。
実際プログラムが終わった時の気持ちとしては、一年間よく走り切った!というのが一番大きいです。3月28日の最後のセレブレーション(お祝い)で、リーダーたちのそれぞれの発表を聞いて、うまくいったこともいかなかったことも全て引っくるめてたくさんの成長と学びがあった一年間だったと感じました。一年間という長期プログラムを実施するのは初めてで、しかもプログラム開始と同時にコロナも本格化し、先行きが不確かな状況で手探りで進めていく感じでした。そんな中でも、より良い大学を作りたい!という思いで、困難に真正面から向き合い、前に進むリーダーたちに勇気をもらいましたし、どんなに小さいことでもうまくいった報告を聞く度に嬉しい気持ちでいっぱいでした。さまざまな困難を乗り越えながら最後まで全力で走り切ったリーダーたちも、悩みながらプログラムを一緒に作り上げたコーチやちゃぶじょメンバーたちも、誇りに思いますし、社会は確実に変わっているんだと希望を感じています。
【コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ):アダニー】
「学生のチャレンジを邪魔させない」「学生のチャレンジの力になる」
性暴力のないキャンパスを作ろうとすると、安全なところから動こうとしない大学組織の意思決定層のオトナたちが壁になったり、SNSでの誹謗中傷に合ったり、意識高いねと冷ややかに受け止められたり、心が折れそうになることは山ほどある、皆さんがシェアしてくれるそういう経験に愕然としました。
それでもCLPに参加した学生みんなが、ストーリーを語りチームを作り戦略を立てて、日々学び対話しエンパワメントし合って、前に進んでいる姿は希望そのものです。強くてやさしく、とてもステキです。
SNSなどでチームの活動を見かけたり、大学側への働きかけが成功したニュースに接したりするたびとても嬉しく誇らしく、いつも勇気をもらっています。そうやって、学生のみなさんのチャレンジは次の誰かのチャレンジの背中も押しているのじゃないかなとも感じます。
CLPに関わる機会をありがとうございました!
【ちゃぶ台返し女子アクション 定期勉強会運営担当 さくさく】
CLPに関わろうと思ったきっかけは、学部時代に行っていた性的同意の啓発活動で得た経験を通して、大学/社会を変えようとしている学生の力になりたいと思ったからです。知識やノウハウ、マインドセットなどの基盤を整えることでCLPメンバーが安心して活動に取り組め、全体の推進力につながったと感じていたら嬉しいです。世間では成果のみが注目され、成功に至るまでの過程や苦悩は中々公にされません。しかし、このCLPでは大学の数だけのドラマを近くで見ることができました。社会を変えているのは「人」だということを改めて認識し、未来が希望でいっぱいです!
【コーチ:かずまさ】
大学を卒業してからもフェミニズムをライフテーマに過ごそうとしていた自分にとって、CLPの話をいただいたときは、民間企業で働きだして1年経ち慣れ始めていたこともあり、自分の仕事と同時に自分の大学時代の経験をシェアできる最適なタイミングだと感じておりました。
ちゃぶじょ、CLPが向き合おうとしている社会課題は一学生の数年間だけでは足りず、皆の想いと行動の積み重ねて繋がれていくものです。
その大きな流れの中で、プログラムに参加した皆が自分の周りで感じる課題に向き合い、少しずつ同志を増やし、解決できる課題を大きくしていきながら人間的な成長も感じられた一年間は、コーチにとっても刺激的でした。私自身もより会社の中で裁量権を多くして頑張ろう、とリーダーとの1on1や報告会を通じて奮い立たせてもらっていました。わたしはフェミニズムに基づいたまちづくりを目指しております。今後もCLPで関われた皆と共に、性差別・性暴力のない社会をユニークに目指していきたいですね。
デジタルチームからの一言
今回、ちゃぶじょのデジタルチームのメンバーも一年間の取材を通して、CLたちの成長を見守らせていただきました。
はじめにCLたちとオンラインでお会いしたのは2020年4月のオリエンテーション。皆さんの第一印象は、「大学生ってこんなにしっかりしていたっけ?」でした(笑)。自分の呼んでほしいジェンダープロノウンを丁寧にみんなに伝えたり、自分の抱えるビジョンについて真剣に向き合ったりしている姿から、フェミニストやアクティビストが少しずつ築き上げてきたジェンダー平等の潮流が確実に大学生まで届いているんだと感じさせられ、思わず胸が熱くなりました。オリエンテーションを通して、未来は明るいと感じると同時に、これからの皆さんの成長にワクワクしたのを覚えています。
今回、私はプログラム運営というCLたちと日々密接に関わる立場ではなく、数ヶ月おきに取材させていただくデジタルチームという立場からCLPを追わせていただきましたが、この立場だからこそ、ワークショップ、勉強会やイベントで皆さんと再会するたびに、自身で定めた目標を達成すべく、真剣に考え、学び、パワーアップを続ける皆さんの姿に新鮮な驚きを感じることができ、また、元気とやる気をもらうことができたと思っています。
私さきは、大変残念ながら最終報告会&セレブレーションに参加が叶わなかったのですが、他のちゃぶじょメンバーから、皆さんが各々ゴールを迎えることができたと聞いて、大変嬉しく感じています。今後、皆さんはさまざまな道を歩むと思いますが、同志と切磋琢磨しながら成長していった尊い時間をどうか忘れず、自分なりの「チェンジリーダー」であり続けて欲しいと思っています。
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【CLP 1.0が、今年、さらにパワーアップして帰ってきます!】
さて、先年度に第1回として開催したちゃぶじょ・チェンジ・リーダー・プログラム(以下CLP)1.0ですが、おかげさまで、今年度、CLP2.0としてさらにパワーアップして開催する運びとなりました!
CLP2.0ではCLP1.0でもベースとしていた、「コミュニティ・オーガナイジング(CO)」の手法を中心に、参加学生ひとりひとりがリーダーとして自分のコミュニティから構造的変化を起こす術を知り、行動へ移せるよう、伴走をします。プログラム全体をPhase 1(スクール形式)とPhase 2(実践形式)に分け、座学と実践の2つの方向から性暴力・性差別をなくすアクションを起こすために必要なマインドセット、知識、スキルを学ぶカリキュラムとなっています。詳しいセッション内容としては、ジェンダー・セクシュアリティについて、LGBTQ+・SOGIEについて、構造的差別について、アクションの起こし方などを予定しています。Phase 1の参加者の内、さらにキャンペーンに参加したい10校の方に、Phase 2へ参加してもらうことを想定しています。プログラム終了時のゴールとして、それらの10校において、性差別・性暴力をなくしたいチームが立ち上がり、キャンペーンが始まっている状態を目指します。 昨年2020年に初めて、ちゃぶじょ・チェンジ・リーダー・プログラムを実施しましたが、困難もありながらも、7大学のリーダーが1年間のプログラムを修了し、各々の大学にてコミュニティに変革を起こすためのキャンペーンを実施することが出来ました。プログラムを通じて学生リーダーたちが意欲的に学び、自信をつけて行動していく様子を目撃したとともに、このプログラムがもしもっと多くの学生に届いたなら、私たちの目指す「すべての人が尊重されるジェンダー平等な社会」へと大きく近づけるに違いないと感じました。
私たち、ちゃぶ台返し女子アクションの活動は、みなさんの温かいご支援で成り立っています。現在私たちは、CLP1.0をよりパワーアップさせた、CLP2.0を8月より開始させるべく、クラウドファンディングを行っております。もしプログラムのビジョンにご賛同いただけましたら、少しでもご支援をいただけると、性暴力と性差別のない社会へとさらに大きく歩みを進めることができます。
自分たちのコミュニティから、性差別・性暴力のない社会を作っていきたい、みんなが心地よく暮らせるようアクションを起こしていきたい!という思いを持った学生たちを、ぜひ一緒に応援してくださいませんか?